国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター Forest Research and Management Organization

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瀬戸野沢山の水源涵養機能

静岡県浜松市

水源林のDATA

<アクセス>

鉄道 JR飯田線「水窪駅」下車、車で20分で造林地到着
東名高速道路「袋井IC」から国道152号を経て1時間30分で造林地到着
  • 水との関わり

    水窪町地域の簡易水道は3つの施設からなり、その1つである水窪簡易水道は水源林造成事業地である瀬戸野沢造林地を含む瀬戸野沢山を水源の一つとしています。水窪町内で簡易水道を生活用水として利用しているのは1,026戸2,422人に及び、その96%の水が水窪簡易水道から供給されています。

    かつては、雨による増水で水が濁り、冬は渇水・パイプの凍結と大変不便でしたが、今では水源林の森と共に簡易水道も整備され、水の心配をすることがなくなり、綺麗な水が安定的に供給されています。また、水源林の美林が生み出した水は水窪川や気田川となり太平洋に向かって流れ下り、やがて天竜川の豊富な流れへとつながり、天竜川下流域をも支えています。

    ”ココ”の特色

    水窪町は、静岡県の西北部、浜松市の最北端に位置し、古い林業の歴史を持っています。また、海から内陸へと物資が運ばれる「塩の道」ともいわれた信州と遠江を結ぶ信州街道の宿場町として古くから栄えました。町の基幹産業は山であり、町の面積の96%が森林で占められています。人の住むところは僅かであり、町並みの背後に急峻な山が連なっています。

    水窪町の造林へのかかわりは古く、徳川家康が武運長久を祈願して刀剣二振りを奉納したという山住神社の宮司が、元禄9年にスギとヒノキの苗木36万本を熊野から船で運び、造林した記録が残っています。

    戦後の経済復興のため、その古くからの森は荒廃し、木がなくなった急峻な山に土砂崩壊が起こりました。その急峻な奥山の一つである瀬戸野沢山に昭和41年から当時の森林開発公団(当時)が植林を行い、今では、水の供給、土砂崩壊防止と水源涵養機能を十分に発揮する森林となりました。

    間伐・生物害防除(熊ロープ)の実施状況の写真
    間伐・生物害防除(熊ロープ)の実施状況
  • 過去から現在そして未来へ

    植栽当時と現在(平成23年)の比較写真

    現在(平成23年)

    昭和41年~スギ・ヒノキなど約33万本の苗木を105haに植栽しました。現在は間伐の適期を迎え、計画的に間伐を実施しながら、急峻な地形のため併せて歩道整備にも取り組んでいます。今後も森林の持つ多面的機能を高度に発揮させるため、間伐等の森林整備を進めていきます。

関係者からのメッセージ

水窪町森林組合業務部長 鍬下勝夫さんの写真

~手を掛けて未来へも続く水~

水窪町森林組合業務部長 鍬下勝夫さん

瀬戸野沢山周辺は大変急峻な地形です。その急峻な山道を苗木を背負って1~2時間と上がるのは本当に容易ではありませんでした。また、笹が密集していたため、地拵・植付・下刈等の作業は困難を極めました。特に地拵と下刈作業は現在のように刈払機もない時代ですから、手刈で作業するため苦労しました。

このような苦労を重ねた末に、瀬戸野沢の森を水源とする水窪簡易水道ができあがりました。簡易水道ができるまでは、竹製の樋やスギの丸太をくりぬいた水路で流されてきた水のため、雨が降れば、流れてくる土砂で詰まっていました。しかし、今はそんなことも無縁となり、山も水道も整備され、瀬戸野沢集落はもちろん、水窪町内の半分の水源として利用され、安定して供給されています。これからも森林を整備し未来へと繋げていきたいと希望しています。

瀬戸野沢山から簡易水道の写真
瀬戸野沢山から簡易水道へ

※ このメッセージは、「全国の水源林50選」策定当時(平成24年)のものであり、現在の団体名や役職名等と必ずしも一致しない場合があります。

問い合わせ先

国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター 静岡水源林整備事務所

静岡県静岡市葵区追手町2番12号(静岡安藤ハザマビル6階)

tel:054-255-9116 fax:054-255-9165