国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター Forest Research and Management Organization

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豊かな水を育む南富良野の水源林

北海道南富良野町

水源林のDATA

<アクセス>

鉄道 JR根室本線「幾寅駅」下車、車で20分で造林地到着
道東自動車道「夕張IC」から国道274号、国道237号、道道465号を経て、1時間30分で造林地到着
  • 水との関わり

    当水源林のある南富良野町は北海道のほぼ中央に位置し、また石狩川水系で最大の支流である空知川の最上流部の水源に位置していることから、南富良野町は町内の水源整備はもとより、下流の富良野地区、滝川市等の上下水道用水の供給や農業用水等を目的とした金山ダムへの安定した水源の確保を最重要課題として、積極的に水源林の整備に取り組んでいます。

    金山ダムによって誕生した「かなやま湖」は、北海道有数の湛水面積と貯水量を誇り、周囲をカラマツ、エゾマツ、トドマツなどの森林によって覆われ、さながら天然の湖の様相を見せています。湖には多くの魚類が棲息していますが、なかには「幻の魚」ともいわれるイトウやオショロコマも棲息しており、生物多様性の観点からも重要な水域と考えられます。

    ”ココ”の特色

    当水源林は現在では、豊かな水源地となっていますが、昭和29年の洞爺丸台風被害により、森林が壊滅的な被害を受け、土砂が河川に流れ込むなど、水質の悪化が進んでいました。

    このため同町は、急速かつ計画的に水源林の造成を行うため、昭和36年に森林開発公団(当時)と分収造林契約を締結し、町有林151ha の水源林を整備したことにより、土砂の流出が止まり、現在では良質な水の供給に貢献しています。

    また、平成22年度から複層の樹冠層へ誘導する複層林誘導伐を行い、長期的な公益的機能の維持、並びに景観等に配慮した森林づくりを実施しています。

    水を蓄える金山ダムの写真
    水を蓄える金山ダム
  • 過去から現在そして未来へ

    植栽当時(昭和38年)と現在(平成23年)の比較写真

    植栽当時(昭和38年)

    昭和29年の洞爺丸台風による天然生林の倒伏被害地を復旧することを目的に、昭和36年から41年にかけてカラマツ、トドマツなど約47万本の苗木を151haに植栽しました。

    現在(平成23年)

    昭和63年度から路網の整備を行い、平成22年度末までに約8kmの作業道を作設し、保育、間伐事業を進めてきました。

    平成22年度からは、森林の持つ公益的機能の発揮強化と木材資源の安定供給を目的とし、永続的に常時3層の複層林へ誘導するために、帯状の誘導伐を行い、下木の植栽及び上下木の育成を行っています。

関係者からのメッセージ

南富良野町議会議長佐々木薫さんの写真

~山(森)と湖とふる里を創る~

南富良野町議会議長 佐々木薫さん

昭和29年秋9月、北海道の屋根、大雪の原始林に一夜にして壊滅的打撃を与えて台風15号は去った。見上げる「三の山」連山の南麓の村、伊勢団体の里人の中に私はいた。

このような惨情は見たこともなく、只々呆然たり、山は開拓の始めより長年に渡って郷に天恵を与えてくれた。緑の山々の再起は百年を要すと、さてどうなる。大量の風倒木の処理に村を挙げて取り組み、理事者不眠不休の甲斐あって、木田幸次郞を偲びつつ木を植えよう、皆んなで植えようと再生の息吹が燃え上がり、分収林制度に拠り計画通り作業は進み植えた若木が繁みを増す頃、里は湖に沈んだ。以来50年の歳月が巡り、今、山は見事に蘇み還った。自然の力を人が授けて皆んなの苦労が実を結び、すばらしい森林となった。

これから折り返す50年は、若人、街道を往く人や湖上を訪れる里人たちがいつ迄も見守ってくれることでしょう。
(※「木田幸次郎」は当集落の開拓入植者団長)

平成22年夏の造林地の写真
平成22年夏の造林地

※ このメッセージは、「全国の水源林50選」策定当時(平成24年)のものであり、現在の団体名や役職名等と必ずしも一致しない場合があります。

問い合わせ先

国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター 北海道水源林整備事務所

北海道札幌市中央区北4条西5丁目1番地(西鉄・林業会館ビル3階)

tel:011-251-4586 fax:011-219-1034