国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター Forest Research and Management Organization

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仙北市田沢「宝仙湖」水源の森

秋田県仙北市

水源林のDATA

<アクセス>

鉄道 JR秋田新幹線「田沢湖駅」下車、車で1時間で造林地到着
バス 「男神山停留所」下車、徒歩1時間で造林地到着
秋田自動車道「大曲IC」から国道105号、46号、341号を経て2時間で造林地到着
  • 水との関わり

    玉川ダムは玉川・雄物川流域の治水安全度を高くする洪水調節、農地約12,000haに対する新規開拓農地へのかんがい、秋田市へ日量113,900トンの上水道と日量452,500トンの工業用水道供給、秋田県玉川発電所による認可出力23,600kWの水力発電を目的とした多目的ダムとなっています。

    また、玉川は源流部の温泉から流出するpH1.1の強酸性の水が古くから「玉川毒水」と呼ばれ、魚介類が全く生息せず、水田に流入するとイネの枯死を招いていたため、玉川ダム完成後の平成4年より「玉川酸性水中和処理事業」を実施し、流域300年の悲願であった玉川毒水の解消が図られ、玉川流域のかんがいや秋田市などへの上水道・工業用水供給が可能となっていますが、当地の水源林はダム湖の後背に位置し、定期的な水の供給などに貢献しています。

    ”ココ”の特色

    仙北市田沢地区は、有効貯水量で東北3番目を誇る玉川ダムや鎧畑ダムなど、秋田県を代表する電源地帯・水源地に位置していますが、ここ大深造林地はその玉川ダム湖の後背林となっています。近くには有名な玉川温泉や日本一深い田沢湖、武家屋敷の角館などがあり、年間250万人を超える観光客が訪れる東北有数の観光地でもあります。

    昭和37年から植栽され、その後600ha近くに及ぶ仙北市の公有水源林造成のパイロット造林地となりました。

    新植後間もない頃は、若スギが競って伸び立ち、青空と見事なコントラストを見せておりましたが、50年近い年月を経た今は、照度管理された立派なスギ林になりました。作業道網も整備され、今後、複数の樹冠層への誘導による複層林施業も行われることになり、長伐期化により、天然秋田杉にも匹敵するような造林地になってくれることが期待されます。

    列状間伐の実施状況の写真
    列状間伐の実施状況
  • 過去から現在そして未来へ

    昭和63年当時(水没前)と現在(平成22年)の比較写真

    昭和63年当時(水没前)

    昭和37年~40年にかけてスギ約27万本の苗木を93haに植栽しました。

    ダム湖に水没する以前の集落の重要な水源地でもありました。

    現在(平成22年)

    植栽後、平成21年度末までに約4kmの作業道を作設し、今後も効率的な森林施業のための路網整備を予定しています。

    平成20~22年には搬出間伐を15ha実施し、1,800m3の材を販売しました。

    今後は、複層林誘導伐を行い多様で健全な森林づくりを進めていきます。

関係者からのメッセージ

田沢地域運営体「荷葉」事務局長 浦山清悦さんの写真

~水源林は地域の職場・雇用の場~

田沢地域運営体「荷葉」事務局長 浦山清悦さん

大深造林地のある仙北市田沢地区は、山間部で耕地が少なく、古くから馬産や山仕事で生計をたてており、藩政時代には年貢として薪炭材を供出していた歴史があります。

私の父も林業作業員として働いて私達を育ててくれました。高校、大学と進学させて貰いましたが、ちょうどその頃大深造林地の新植期と重なっておりますので、この造林地には格別の想いがあります。

卒業後、町役場に就職しましたが、勤務先の現場が大深などの造林地でした。交通事情が良くなかった当時、造林検査も宿舎に泊まりがけで、作業員の皆さんと飲み明かしたことを思い出します。

農山村が限界集落などと言われるようになってきましたが、農山村に根ざした仕事場・職場として、水源林を育てることの大切さを、多くの国民の皆さんに理解して戴きたいものです。

造林地下流にある玉川ダム(仙北市)の写真
造林地下流にある玉川ダム(仙北市)

※ このメッセージは、「全国の水源林50選」策定当時(平成24年)のものであり、現在の団体名や役職名等と必ずしも一致しない場合があります。

問い合わせ先

国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター 秋田水源林整備事務所

秋田県秋田市川元山下町8番28号(秋田県森林組合会館3階)

tel:018-866-5611 fax:018-866-5600