国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター Forest Research and Management Organization

本文へ移動する

水力発電と信仰の山の景観保持

福島県金山町

水源林のDATA

<アクセス>

鉄道 JR只見線「本名駅」下車、車で20分、または徒歩1時間で造林地到着
国道252号(沼田街道)沿いの本名ダムより林道本名室谷線、三条林道経由約20分で造林地到着
  • 水との関わり

    尾瀬沼を水源とする只見川流域は年間の降水量が多いことや、地形が急峻で川の落差が大きく急流であるため、明治時代から水力発電の適地として認められていました。電源開発の一環として、只見川から阿賀川まで階段式にダム式発電所が建設され、国内屈指の電力供給地となっています。水源林造成事業地直下にはその一つである本名ダム(総貯水量2,577万m3)があります。

    ”ココ”の特色

    霧来沢は只見川の支流のひとつで、その上流部に水源林造成事業地があります。事業地には伊佐須美神社の起源といわれる御神楽岳への登山道入り口があります。この登山道の周辺はブナを主体とする広葉樹と混交して「本名スギ」と呼ばれる天然スギが自生していましたが、酒桶用に乱伐されたため、明治35年より禁伐とされ、現在は尾根付近に僅かに残っているものを見ることができます。

    天然スギの伐採跡地は、「下越の谷川岳」と呼ばれる急峻な地形と、豪雪地帯でなおかつ年間2,500mmを越える降水量のため、表土が流出し林地の荒廃が進んでいました。

    昭和37年度より本名財産区と共に水源林造成事業に着手し、現在では5団地で212haのスギ林が造成されています。造林地は比較的緩傾斜の箇所を選んでいますが、豪雪のため成長が遅く根曲り等も激しいため、保育には苦労しています。しかし、広葉樹との混交など、多様な森林作りを進め、水源涵養や国土保全に効果を発揮すると共に、信仰の山の景観保持に役立っています。

    間伐後の林内の写真
    間伐後の林内
  • 過去から現在そして未来へ

    昭和51年頃と現在(平成23年)の比較写真

    昭和51年頃

    昭和37年より5つの造林地であわせて約212haのスギを植栽してきました。御神楽岳の周辺は急峻かつ断崖が多いため、所々で崩壊があり事業実施には危険を伴います。

    写真の箇所は昭和40代中頃に植栽した箇所です。

    現在(平成23年)

    植栽区域は成長したスギが森を作っています。豪雪地特有の根曲が見られるため、年数をかけて大径木へと成長させ、まっすぐなスギにします。

関係者からのメッセージ

本名財産区管理者金山町長 長谷川律夫さんの写真

~森林の整備と雇用の創出~

本名財産区管理者金山町長 長谷川律夫さん

私どもの本名財産区は、昭和37年から水源林造成事業を始め事業発足50年を迎えました。本名財産区は、もともとスギの生産地として有名な場所で、特に御神楽地区一帯には直径2m以上、樹齢200年以上の本名スギと呼ばれている天然杉が自生していました。本名スギは江戸時代から只見川を利用して新潟県まで運ばれて広く利用され、伐採し尽くされたため山は荒れ果ててしまい、当時の財産区は、自力での復旧が困難であったため水源林造成事業により山の回復を図りました。現金収入が乏しい我が町にとって水源林造成事業による新たな雇用は貴重な仕事でもありました。最盛期には20人以上の直営班を組織し、200ha以上の植林を実施しました。職を失い地元から離れていく人々が多かった当時、地元で働く場所が確保できたことや、昔ながらの林業の技術を次世代に継承できたことをとても有意義に感じています。

今後も森林経営による地域の活性化を図るため、保育管理と森林の有効活用を計画的に進めていきたいと思います。

秋の御神楽岳の写真
秋の御神楽岳

※ このメッセージは、「全国の水源林50選」策定当時(平成24年)のものであり、現在の団体名や役職名等と必ずしも一致しない場合があります。

問い合わせ先

国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター 福島水源林整備事務所

福島県福島市栄町6番6号(福島セントランドビル3階)

tel:024-521-3409 fax:024-521-1838