国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター Forest Research and Management Organization

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複層林誘導伐第1号地

茨城県大子町

水源林のDATA

<アクセス>

鉄道 JR水郡線「下野宮駅」下車、車で5分で造林地到着
常磐自動車道「高萩IC」から国道461号を経て約1時間30分で造林地到着
  • 水との関わり

    造林地直下を流れている渓流は久慈川本流に流れ、約4km下流では生瀬地区の約4千人の水道水に利用されています。久慈川は福島県の山間部より茨城県に入り太平洋に注いでいる一級河川であり、中・下流部は肥沃な田園地帯で、緑豊かな地域が形成されています。また豊かな自然環境ときれいな水に恵まれ、日本有数のアユの生息地としても知られています。

    ”ココ”の特色

    当センターが進める「複層林誘導伐」は、複数の樹冠層を構成する森林を目指して区域内を3分割し、概ね30年毎に順次伐採を行って90年輪伐期の林分(三段林)に誘導していく伐採及び育成の方法です。

    当造林地は、造林木の生長が良く、路網整備が進んでいるため平成22年度に複層林誘導伐を計画しました。実施にあたっては森林の公益的機能の維持に配慮して、モザイク的に分散させた小規模な伐採区域を4箇所設定し、スギ・ヒノキ合わせて1.46ha、約770m3を販売しました。これが全国に先がけて、当センター第1号の複層林誘導伐による造林木の販売となりました。

    なお、三段林となる「複層林誘導伐」の初回伐採分については、当センターで新たな植栽を行います。

    平成23年度以降も引き続き同様の方法で造林木を販売し、複層林への誘導を行う計画です。

    複層林誘導伐伐区計画図の写真
    複層林誘導伐伐区計画図
  • 過去から現在そして未来へ

    昭和59年当時と現在(平成23年)の比較写真

    昭和59年当時

    昭和40年度~昭和42年度にかけて、スギ・ヒノキ合わせて約9万本の苗木を22haに植栽しました。その後、こまめに下刈・つる切・除伐などの保育作業を実施しました。また、平成5年度から路網の整備を行い、約3kmの作業道を作設しています。

    現在(平成23年)

    平成12年度~15年度には搬出間伐を17ha実施し販売しました。平成22年度には複数の樹冠層へ誘導する複層林誘導伐に一部取り組みました。残存区域も概ねスギ500~600m3/ha、ヒノキ400~500m3/haの林となっており、引き続き複層林誘導伐を実施し健全な森林づくりを進めていきます。

関係者からのメッセージ

造林地所有者代表 大森一介さんの写真

~先輩方に感謝~

造林地所有者代表 大森一介さん

ここの土地は、採草地として国有林から払い下げられたものでしたが、農家が減って次第に使われなくなり、荒れた山になっていました。当時は採草農業協同組合として土地を管理していましたが、組合には資金もなく水源林造成事業を契約することになりました。

造林作業は組合員総出で行いました。植え付け作業は、土が非常に固くて大変だったのを覚えています。またここは造林木の伸びが良い反面、雑草の伸びもひどく、下刈作業が一番大変でした。クズ・フジも多かったですし、雪害も3~4回あり苦労が絶えませんでした。

しかし、森林農地整備センターでも一生懸命力を入れてもらって管理が行き届き、良い山に育ちました。よく手入れができたことが、今回の伐採木が良い値で売れたことに繋がったと思います。ここの水源林造成事業は最高にうまくいったと思っています。当時の先輩方にも大変感謝しています。

※ このメッセージは、「全国の水源林50選」策定当時(平成24年)のものであり、現在の団体名や役職名等と必ずしも一致しない場合があります。

問い合わせ先

国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター 関東整備局

神奈川県川崎市幸区堀川町66番地2(興和川崎西口ビル11階)

tel:044-542-5545 fax:044-541-3017