国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター Forest Research and Management Organization

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「第二の天竜」を合言葉に分収造林を推進

山梨県早川町

水源林のDATA

<アクセス>

鉄道 JR身延線「下部温泉駅」下車、車で40分で雨畑ダム、徒歩20分で造林地到着
バス 「雨畑」停留所下車、徒歩1時間で造林地到着
中央道「甲府南IC」より1時間30分で雨畑ダム、徒歩20分で造林地到着
  • 水との関わり

    当水源林は、富士川の支流、早川の上流部に位置します。戦後広く荒廃していた森林が、水源林造成事業を通じて回復し、現在では町内の簡易水道やダム水源をはじめ、下流地域の水需要等に貢献しています。

    ”ココ”の特色

    早川町内の森林は、戦後荒廃の一途をたどり、山の町でありながら、林業への依存度は極めて低い状況となりました。荒廃地をいかにして価値の高い人工林に転換するかが早川町林業の課題でした。

    早川町百年の大計「第二の天竜」を合言葉に、町の面積の96%(約355百ha)の荒廃した森林を緑の山に変えるため、町長自ら先頭に立ち、町民の利益と公益性を説いて、昭和37年に森林開発公団(当時)の水源林造成事業が導入されました。

    昭和40年代までに1,500ha、今日までに約2,400haを造林し、山梨県における水源林造成事業面積の四分の一を占めています。

    早川町は、西は静岡県に接し、日本で二番目に高い「北岳(標高3,193m)」の麓に位置し、標高差は約2,800mもあります。また地形が急峻なうえに糸魚川・静岡構造線上にあって地質も脆く、緑を育てることは大変ですが、先人の心を引継ぎ、次代へこれを渡していかなければなりません。

    アカマツ林(46年生)の写真
    アカマツ林(46年生)
  • 過去から現在そして未来へ

    植栽前(昭和40年頃)と現在(平成23年)の比較写真

    植栽前(昭和40年頃)

    荒廃地が点在し、土砂の流出が見てとれます。 水源林造成事業により昭和37年度以降、カラマツ ・アカマツ・ヒノキなどを約2,400ha植栽しました。

    現在(平成23年)

    今後は間伐・除伐などを実施し、広葉樹等の後生樹を活用しながら針葉樹と広葉樹の入り混じった、多様で健全な森林づくりを進めて行きます。

関係者からのメッセージ

早川町 長谷川空五さんの写真

~山に愛されて50年~
( 山は人を迎えて厳しく、又やさしい)

早川町 長谷川空五さん

水源林造成事業の導入と私の山歩きは同期でした。新植計画のための現地測量、その夜のうちに製図を終え、境界簿の作成を済ませ、次の日はまた、測量のため山に登るという作業を繰り返しました。

当時は、山林所有者も集落の立会人も作業担当者も元気で、競争で山を歩き、地形を頭の中に書き込みながらの作業でした。林道や作業道の開設は地形的に難しく、車を降りて現地まで1時間、2時間は当たり前、しかし、この間が山の恵みを受ける楽しい時間でもありました。

山奥の作業地への苗木の荷あげ、除草剤の散布、熊檻、避難小屋の材料運搬などにヘリコプターが導入され、重労働から一部解放された事と、自分たちの作業に最新技術のヘリを使う事の優越感のような喜びが造林作業に良い刺激と勇気を与えてくれた事も事実です。

四季の変化に富み、素晴らしい恵を与えてくれる山、「春は山菜山野草、夏はイワナ、ヤマメと川遊び、秋はキノコと木の実穫り、冬はクマ、シシ、シカと知恵くらべ」。

森林が木材生産の場から国土の保全、人間が生きるために不可欠な公益的機能の発揮へとその価値観が変わりつつある中で、太古より万物を育んできた森林を崇敬し、山村に住むことを誇りとしております。

カラマツ林(49年生)の写真
カラマツ林(49年生)

※ このメッセージは、「全国の水源林50選」策定当時(平成24年)のものであり、現在の団体名や役職名等と必ずしも一致しない場合があります。

問い合わせ先

国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター 甲府水源林整備事務所

山梨県甲府市丸の内1-17-10(東武穴水ビル4階)

tel:055-235-7276 fax:055-226-0691