国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター Forest Research and Management Organization

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春日村の「愛林隊」

岐阜県揖斐川町

水源林のDATA

<アクセス>

鉄道 近鉄養老線「揖斐駅」下車、車で1時間で造林地到着
バス 「初若停留所」下車、徒歩2時間30分で造林地到着
名神高速道路「関ヶ原IC」から国道21号、県道257号を経て1時間で造林地到着
  • 水との関わり

    当水源林は、揖斐川の支流長谷川及び粕川の集水域に位置し、下流には揖斐川町市場簡易水道が設置され、揖斐川町の大切な水源となっています。また、安定的に供給される水は揖斐川に注ぎ、周辺住民の生活を潤しています。

    ”ココ”の特色

    「春日炭」の産地として、都市部の薪炭需要に支えられて発展してきた春日村(現 揖斐郡揖斐川町)は、昭和30年代後半になると、燃料革命による木炭需要の急激な後退で産業基盤を失いました。そこで、村が造林者となり、村役場職員を中心に、土地所有者を対象とした地区座談会を開催したり、作業班員結成に連日連夜にわたって奔走しました。その成果が実り、昭和38年に「愛林隊」と呼ばれる作業班組織を結成することができました。かつて、共に木炭生産に打ち込んだ仲間たちは、幾つかの造林チームとして生まれ変わり、村内の森林はもとより、かつて木炭生産に出かけた郡、県外の各地の山へも入り、その勤勉さと卓越した技術が認められ、各地の山村で活躍しました。彼らの努力により、村有林を持たない春日村において、昭和38年から1,500haの水源林が整備されました。

    当時の保育作業の様子の写真
    当時の保育作業の様子
  • 過去から現在そして未来へ

    植栽当時(昭和38年)と現在(平成23年)の比較写真

    植栽当時(昭和38年)

    昭和38年からスギ・ヒノキなど約445万本の苗木を1,500haに植栽しました。

    現在(平成23年)

    先人の努力により造成された水源林も、利用の時期を迎えています。春日地域では、平成22年度に揖斐川町、岐阜県林業公社、揖斐郡森林組合、森林農地整備センターの四者の間で「春日尾又・押又地域森林整備集約協定」を締結し、地域連携により水源の涵養、山地災害や地球温暖化の防止といった公益的機能の持続的な発揮につとめ、健全で豊かな森林づくりの推進、木材資源の有効活用を通じて林業及び木材産業の振興を図っていくこととしています。水源林造成事業地内においては、平成23年度から5カ年で、搬出を含む80haの間伐を予定しています。先人達が夢を抱き、新たな事業に果敢に挑んだように、私達にも利用の時代への挑戦が求められていると感じます。

関係者からのメッセージ

元春日村長 樋口直嗣さんの写真

~人を育てて山を育てることに期待~

元春日村長 樋口直嗣さん

春日村が中心となって水源林造成事業を推進したわけですが、土地所有者は皆協力的でした。村が造林者として関わっているということも、安心を与える要因になったと思います。当時、春日村では小学校建設のために村有林を処分した後だったので、事業地を村民に頼ることになりましたが、村民の財産になりましたので今では良かったと思っています。村民は、炭焼きの仕事から水源林造成事業へ働き方を変えることになったわけですが、結果として労働条件の改善につながりました。植付や保育の作業に比べたら、木馬で薪を運ぶ作業は何倍も危険な重労働でした。炭焼きの経験があったので、ひと夏何百haという下刈り作業も難なくこなすことができ、次の仕事がなくて困るほどでした。よその村に働きに出た作業班の評判も良く、「春日村の人夫なら倍払っても良い」と言われるほど、仕事も早いし綺麗な現場を仕上げていましたね。

春日村民にとって、働く場を提供してくれた水源林造成事業に感謝しています。しかし今は世の中の、山に対する関心が薄いことを大変残念に思っています。山は保育作業を続けないと良い状態を保てませんし、山で働く人間にとっても仕事が続かなければ生きてはいけません。山で働く人がいてこそ水源林は守られます。人を育てて山を育てることに期待します。

集約化協定締結式の写真
集約化協定締結式

※ このメッセージは、「全国の水源林50選」策定当時(平成24年)のものであり、現在の団体名や役職名等と必ずしも一致しない場合があります。

問い合わせ先

国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター 岐阜水源林整備事務所

岐阜県岐阜市六条江東二丁目5番6号(ぎふ森林文化センター3階)

tel:058-275-3643 fax:058-275-3645