国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター Forest Research and Management Organization

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一ノ瀬川上流域の水源の森

三重県度会町

水源林のDATA

<アクセス>

鉄道 JR参宮線「伊勢市駅」下車
バス 道方、中村方面行き「梅橋停留所」下車、徒歩1時間で造林地到着
伊勢自動車道「玉城IC」から県道65号、県道22号を経て50分で度会町南部簡易水道、造林地到着
  • 水との関わり

    度会町は、町の北端部を大台ヶ原を源流とする清流・宮川が流れています。一ノ瀬川は宮川の支流の1つで、上流域から源流部にかけて約1,200haの広大な水源林が成林しています。一ノ瀬川の水は農業用水(水田200ha)として利用されているだけでなく、昭和55年には水源林の中央部に度会町南部簡易水道が完成し、約500世帯に生活用水を供給しています。

    ”ココ”の特色

    かつて、一ノ瀬川上流では木炭の生産が盛んに行われていました。しかしエネルギー源の変革により需要は減少、人口は下流の都市へと流れていくようになりました。このような時代の変革の中、地域の人達は「今までのように山を地元の人達が働ける場にしたい」、「豊富な森林を、より経済性の高い山に育てたい」として、発足したばかりの水源林造成事業に取り組んだのです。

    その水源林も当初植栽したものは40年生以上になり、大雨が降っても川の水は濁ることがなく、水量も安定するようになりました。このように成熟してきた森林の整備を地域として一体的に進めるため、平成21年10月23日、一ノ瀬地域の森林所有者たちが集まって「一ノ瀬地域林業推進協議会」を設立しました。さらに平成22年2月9日、三重県、度会町、森林農地整備センター、一ノ瀬地域林業推進協議会の森林所有者に、この地域の森林整備を担う、いせしま森林組合を加えた5者で「一ノ瀬地域森林整備推進協定」を締結。全国初の「民民連携」として、お互いの情報を共有しながら効率的な森林整備の実施に取り組んでいます。

    平成21年度搬出間伐の実施状況の写真
    平成21年度搬出間伐の実施状況
  • 過去から現在そして未来へ

    植栽当時(昭和48年)と現在(平成23年)の比較写真

    植栽当時(昭和48年)

    昭和48年からスギ・ヒノキ約50万本の苗木を125haに植栽しました。

    現在(平成23年)

    平成9年度から路網の整備を行い、平成21年度末までに約8kmの作業道を作設しています。また、平成21年度からは間伐材等の効率的な搬出のため、全体計画で9.2kmの幹線として活用される作業道整備に着手し、搬出間伐を行いました。

    今後も効率的・効果的な路網整備と間伐を中心とした森林整備を進めていきます。

関係者からのメッセージ

造林地所有者代表 青木民夫さんの写真

~水量安定期に入った一之瀬川流域~

造林地所有者代表 青木民夫さん

一之瀬川上流には約4,600haの森林を持つ旧一之瀬村(現度会町)があり、その半数の面積が7ヶ字が所有する共有林となっています。

一之瀬川流域は、古くから林業の盛んなところで、文献によれば伊勢神宮の御用材を切り出した事もある林業立圏でもあったようです。明治、大正、昭和は薪炭生産が盛んで、伊勢神宮参拝者の暖をとるための貴重な資源でした。しかし昭和三十年代後半からは化石燃料に変わり、薪炭生産は衰退の一途をたどり、過去においても度々の河川の氾濫を受けて対応策に迫られていました。そこで昭和40年当初から旧森林開発公団と契約を結び、水源林造成事業がスタートしました。この事業が地域の生活を支え、地域に活性化の起爆剤となったことは事実であり、昭和49年7月、台風8号(別名七夕台風)は河川の氾濫を起こして被害をもたらしましたが、今では温暖化によるゲリラ的豪雨にも耐えうる森林が育ちつつあります。今冬、昨年から雨の降らない天候が続いています。しかし、一之瀬川の水量は一定の量を確保しながら、淡々と流れています。当然のことのように。

よみがえった清流 一ノ瀬川(度会町)の写真
よみがえった清流 一ノ瀬川(度会町)

※ このメッセージは、「全国の水源林50選」策定当時(平成24年)のものであり、現在の団体名や役職名等と必ずしも一致しない場合があります。

問い合わせ先

国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター 津水源林整備事務所

三重県津市桜橋一丁目104番地(三重県林業会館3階)

tel:059-228-6698 fax:059-228-2622