御杖から始まった分収造林契約
奈良県御杖村
水源林のDATA
所在地 | 奈良県宇陀郡御杖村大字土屋原外 |
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契約年度 | 昭和36年度 |
契約面積 | 422ha |
造林地所有者 | 御杖村(みつえむら) (土屋原・桃俣・菅野・神末4財産区) |
造林者 | 同上 |
植栽樹種 | スギ(52%)・ヒノキ(48%) |

<アクセス>
鉄道 | 近鉄大阪線「榛原駅」下車、車で20分で土屋原入口、徒歩40分で造林地到着 |
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車 | 名阪国道「針IC」から国道369号を経て40分で造林地到着 |
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水との関わり
当水源林は名張川水系の青蓮寺川及び神末川の上流に位置した土屋原、桃俣、菅野及び神末地区の奥地にあり、下部には4地区の簡易水道施設が整備され農業用水とともに重要な水源地として利用されています。
これら簡易水道における集水面積は548haあり、うち水源林造成事業は178ha(32%)を占めています。平成15年には水道水源保護審議会水源保護地域(水質汚濁や水源枯渇など防止を目的とする流域面積約1,100ha)の指定を受け、契約地も一部が包含されています。
”ココ”の特色
奈良県の東端部に位置する御杖村は森林面積7,051ha。スギ・ヒノキを中心とした人工林の大半は戦後植林されたもので、育成途上の森林が多く間伐を中心とした適正な保育整備が望まれています。明治22年村政施行では旧桃俣、土屋原、菅野及び神末の4ケ村が合併をし、旧村の森林は財産区として設置されました。村名は古書「日本書記」に出てくる倭姫命が天照大神の鎮座される地を探す御杖代(神に仕える使者)として旅をし、この地をその候補地の証とし自らの杖を残した伝説に由来しています。
また、御杖村は大和から伊勢(神宮)を結ぶ伊勢本街道が通っており、江戸期には西国、関西からの最短のコースで険しい山道ながら、倭姫命に由来して「神意に叶う道」として多く利用されたところです。
昭和34年9月に襲来した台風15号(伊勢湾台風)は潮岬に上陸し、紀伊半島、東海地方に大きな被害(日本の災害史上最大の風水害)をもたらしました。この地域は、山腹崩壊が多数発生し、河川に注ぎ土砂流出災害に見舞われました。災害以降には、山地災害の早期復旧を目的として、4地区の財産区一同が水源林造成事業の実施を強く推し進め、昭和36年には奈良県で初1号地から4号地までを一同にして分収造林契約の締結をなしえて、これまで422haを契約実施するに至っています。
間伐後の林況 -
過去から現在そして未来へ
植栽・下刈(昭和40年)
昭和36年~42年にかけてスギ・ヒノキなど約127万本の苗木を約250haに植栽しました。
昭和57年から磨き丸太生産を目的とする立木販売の取組みが行われ、昭和62年に3.70ha・260本を菅野、神末地区で、平成5年には0.90ha・22本を桃俣地区でそれぞれ優良生産が実施されました。
平成5年磨き丸太の生産
平成元年から土屋原及び桃俣地区で間伐を目的として林道による路網整備が図られました。
平成20~21年度には搬出間伐が10ha実施され、821m3の材を搬出し販売しました。
今後は針葉樹と広葉樹の混じった多様で健全な森林づくり、複層林施業や作業道路網の整備を進めていきます。
関係者からのメッセージ
※ このメッセージは、「全国の水源林50選」策定当時(平成24年)のものであり、現在の団体名や役職名等と必ずしも一致しない場合があります。