国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター Forest Research and Management Organization

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中江の大通峠と水源林

鳥取県若桜町

水源林のDATA

<アクセス>

鉄道 JR山陰本線「鳥取駅」から若桜鉄道に乗り換え「若桜駅」下車、「若桜駅」から町営バスで15分で「中原停留所」下車
バス 町営バス「中原停留所」下車、徒歩70分で造林地到着
中国自動車道「山崎IC」から国道29号線経て70分で「中原橋」
  • 水との関わり

    昭和38年から植林された「中江の水源林造成事業地」は約570haであり、年間を通して加地川に安定した水量を供給する水源林となっています。近年、気候の変動が激しくダムや河川の水量が年ごとに大きく変動する中、鳥取県企業局は10カ年間に亘り加地川の水量等の調査を行い、発電可能な水量が安定的に供給されているとして、平成8年度に加地発電所を建設し、一ヶ月当たり約1,200~1,300世帯に供給できる電力を発電しています。この加地発電所が発電に使用する水の集水区域のほぼ全区域が水源林造成事業地となっています。

    ”ココ”の特色

    戦前から戦後にかけて薪炭材利用などにより荒廃していた当地においては、昭和36年から森林開発公団(当時)により開始された分収造林方式による水源林造成事業を取り入れ、森林造成が進められました。

    昭和38年の契約当初は、地元や地域の人が山仕事に従事する就労の場となっていましたが、近年、林業従事者の高齢化や減少により、森林整備は森林組合や造林会社が依頼を受けて実施しています。水源林造成事業地は、通称「中江」に位置しており、当時、中江部落から約2kmを歩いて苗木を運び植栽しましたが、現在は林道も開設され、大通中江林道の鳥取県と兵庫県境の大通峠から一大造林地を形成しています。

    間伐予定地と搬出道の写真
    間伐予定地と搬出道
  • 過去から現在そして未来へ

    植栽当時(昭和38年)と現在(平成23年)の比較写真

    植栽当時(昭和38年)

    昭和38年からスギ・ヒノキ約147万本を、約490haに植栽しました。

    現在(平成23年)

    平成21年度末までに約16㎞の路網を整備し、今後も、間伐材の有効利用を図るため、路網整備を計画しています。また、これまでは路網の整備された周辺で搬出間伐を実施してきましたが、今後は、路網の整備と併せて間伐材の有効利用に取り組みながら、長伐期施業に向けた適切な間伐の実施により、健全な水源林の造成を進めていきます。

関係者からのメッセージ

栃原財産区管理会長 山本安雄さんの写真

~先人の思い、川上から川下へ~

栃原財産区管理会長 山本安雄さん

通称「中江」の造林地は集落が4財産区の所有で、森林造成を始めた昭和30年代後半は約170戸が生活を営み、農林業で生計を立てていました。当時、二者契約により自ら事業を計画し、農業との就労バランスを取ることで生活を潤し、集落に活力を与えていました。現在、若者の地元離れと高齢化が進み、三者契約で管理しています。中江の造林地は水源涵養保安林で、川下に安定的に水を供給する水源としても重要な役割を果たしています。地域の農業、林業と共に、川下の水産業とも協調して地域の流域が一体的に活性化することを願うのは先人も今も同じ思いだと思います。今後も、森林農地整備センター、また、関係行政機関の「山づくり」に期待しています。

加地川と造林地の写真
加地川と造林地

※ このメッセージは、「全国の水源林50選」策定当時(平成24年)のものであり、現在の団体名や役職名等と必ずしも一致しない場合があります。

問い合わせ先

国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター 鳥取水源林整備事務所

鳥取県鳥取市富安一丁目152番地(SGビル1号館3階)

tel:0857-21-7751 fax:0857-21-7753