国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター Forest Research and Management Organization

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水持ち山の復活

島根県奥出雲町

水源林のDATA

<アクセス>

鉄道 JR木次線「出雲坂根駅」下車、車で5分で造林地到着
中国自動車道「庄原IC」もしくは「東城IC」から国道314号を経て1時間で造林地到着
  • 水との関わり

    室滝造林地は神話の国出雲に流れる斐伊川の源流地帯にあり、古事記の八岐大蛇伝説の舞台となった地域でもあります。この森で育まれた水は坂根ダムに集水され、奥出雲町内の農業用用水として利用されています。また、下流には、国営農地開発事業で造成された果樹園や農地があり、葡萄やブルーベリー、日本穀物検定協会より特Aの評価を受けた仁多米を生産しております。

    なお、平成7年8月には、「八川水源の森」として水源の森百選に選ばれました。

    ”ココ”の特色

    島根県奥出雲地方では、非常に良質な砂鉄が採れることから、たたら製鉄が古来から幕末、明治にかけて盛んに行われ、西洋式製鉄に移行する大正末期まで続きました。たたら製鉄では大量の木炭を使用することから、木炭生産も並行して行われ、たたら製鉄が終わった後も燃料革命が起こるまで盛んに木炭生産が続きました。

    ここ、室滝山は古くから地元の人に「水持ち山」と呼ばれていましたが、昭和20年代、30年代に入り、家庭燃料が木炭から石油、ガス等に移り変わると、木炭の需要が急激に細り、炭焼き人が次々と山から下り、薪炭林は荒廃していきました。

    昭和39年からは、分収造林による植林が進むと、次第に河川の水量が安定してきて、その水を有効利用するために平成4年には潅漑用として総貯水量790,000m3の坂根ダムが竣工しました。このダムの水は奥出雲町内の430ha、584戸に農業用水を供給しています。

    また、近くにはJR木次線が通っており、最寄り駅の出雲坂根駅構内には「延命水」と呼ばれる天然水が湧き出て、年間30万人(推定)の人に利用され親しまれており、この上流域にも水源林造成地が拡がっています。

    室滝造林地内の写真
    室滝造林地内
  • 過去から現在そして未来へ

    植栽当時(昭和43年)と現在の比較写真

    植栽当時(昭和43年)

    昭和39年からスギ・ヒノキ・アカマツ約105万本の苗木を333haに植栽しました。

    現在

    これまで、約23kmの作業道を開設し、造林、間伐施業に有効に利用しています。また、平成21~22年度にかけては44ha、2,630m3の搬出間伐を行い、間伐材の販売を行いました。

関係者からのメッセージ

絲原山林 元山林部長 若月一夫さんの写真

~森づくりの想い出~

絲原山林 元山林部長 若月一夫さん

私は復員後の昭和20年に絲原山林に入社以来、絲原武太郎、義隆、德康と三代の土地所有者の下で、最盛期20人の作業員と10人の山番と共に約四千町歩の森林を管理して参りました。

室滝造林地は元は雑木林で、戦前から2町歩に一つの割合で炭焼き釜約200個作り、工業用木炭を生産していました。その後、木炭の需要が一気に少なくなり、放置された薪炭林を昭和30年代後半に4団地一千町歩、当時の森林開発公団と分収造林契約を交わして植林を始めました。私の畑で丹精を込めて育てた苗木を植栽した思い入れのある森林です。

今では国営農地開発事業で作られた400ha以上の畑に農業用水を供給する山に成長し、とても嬉しく思います。今後もCO2削減等に寄与しながら、下流域の生活に役立つ立派な山に育てて頂くことを望みます。

駅前の延命水の看板の写真
駅前の延命水の看板
近くに設置された延命水の取水地の写真
近くに設置された延命水の取水地

※ このメッセージは、「全国の水源林50選」策定当時(平成24年)のものであり、現在の団体名や役職名等と必ずしも一致しない場合があります。

問い合わせ先

国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター 松江水源林整備事務所

島根県松江市母衣町55番地(島根県林業会館3階)

tel:0852-21-6452 fax:0852-23-6572