若鮎がはね踊り、水清き水源の森林
徳島県海陽町
水源林のDATA
所在地 | 徳島県海部郡海陽町久尾 |
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契約年度 | 昭和41年度 |
契約面積 | 516ha |
造林地所有者 | 海陽町 |
造林者 | 同上 |
植栽樹種 | スギ(70%)・ヒノキ(30%) |

<アクセス>
鉄道 | 阿佐海岸鉄道「宍喰駅」下車、車で1時間で造林地到着 |
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バス | 町営バス「久尾停留所」下車、徒歩2時間で造林地到着 |
車 | 神戸淡路鳴門自動車道「鳴門IC」から国道11号、国道55号を経て3時間で造林地到着 |
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水との関わり
海陽町は徳島県の最南端にあり、西は高知県と隣接し、この久尾水源林造成地(久尾団地)は海陽町の西部に位置しています。海陽町全体の植栽面積は1,400haにおよび、この久尾団地を源流域とする”野根川”は、徳島県(海陽町:旧宍喰町)を経て高知県東洋町で太平洋に注ぐ流路延長30kmの河川です。最大の特徴はダムがなく全国的に鮎の遡上等で知られている清流であり、特にシーズンになると県内外からの釣り愛好者が大勢押しかけます。また、高知県友釣連盟が主催する全国のおいしい鮎を決定する「第4回清流めぐり利き鮎会」でグランプリを獲得しており、全国でも指折りの鮎の聖地ともなっています。
”ココ”の特色
久尾一体は古くは南北朝の動乱により、近畿地域が戦場となった要因で木材が枯渇し、用材が不足する事態に至りました。そこで木材を取得する手段として、川、海によって運ぶことが可能な当地周辺にも白羽の矢が立ち、木材が近畿地方に運ばれた経緯があります。
この森林は、大正時代に部落有林であったものを一括して町に移管した経緯があり、まとまった大規模な面積を持つ町有林となっています。分収造林契約を締結する際の林況は、薪炭利用を通じ荒廃した状態で、昭和41年からは水源林造成事業に取り組み、従来の薪炭利用主体の森林から水源涵養等の公益的機能を有した、優れた森林に生まれ変わりました。
造林地の生育は極めて良好で、当水源林造成事業地が野根川の重要な水源林としての機能を十二分に発揮しています。
列状間伐の実施状況 -
過去から現在そして未来へ
植栽当時(昭和41年)
昭和41年~46年にかけてスギ・ヒノキ約123万本の苗木を411haに植栽しました。現地は奥地で急傾斜であり、当時は林道・作業道が整備されていなかったことから、片道約3時間の道程を歩いて通わなければならなかったため、この大面積の造林は、地元・地域の人々を総動員して行われました。
昭和42年より順次下刈、除伐等の森林整備を実施し、今では立派な水源林となっています。
現在(平成23年)
平成11年度から路網の整備を行い、平成22年度末までに約6.5kmの作業道を開設しました。作業道を開設し利用径級に達した造林地においては、これまで約60haの間伐を実施し、2,500m3の材を販売しました。
今後も、路網の整備を図りながら適正な森林整備に努め、積極的に間伐木の利用を図るなど木材資源の有効活用を図り、水源涵養等機能のより一層の発揮に向けて、地元海陽町と一体となって取り組んでいきます。
関係者からのメッセージ
※ このメッセージは、「全国の水源林50選」策定当時(平成24年)のものであり、現在の団体名や役職名等と必ずしも一致しない場合があります。