国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター Forest Research and Management Organization

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庭田水源林造成地

宮崎県日向市

水源林のDATA

<アクセス>

鉄道 JR日豊本線「美々津駅」下車、車で30分で庭田入口、徒歩2時間で造林地到着
バス 「ゴルフ場前停留所」下車、徒歩2時間半で造林地到着
国道10号線日向市寺迫信号を西に左折後、普通林道ヒコバエ線及び作業道を経て40分で造林地到着
  • 水との関わり

    当水源林は、歌人「若山牧水」が歌った名峰尾鈴山(標高1,405m)の山麓に位置し、石並川の支流で丸木谷の源流にあります。

    かつては薪炭林施業で山が荒廃し、下流の寺迫集落では渇水期の著しい水不足が深刻な問題となっていましたが、地元の強い要請を受け、治山や治水を目的として森林開発公団(当時)により昭和41年度から水源林造成事業が行われました。

    その後、植栽木の成長に伴い徐々に水不足も解消され、今では年間を通じて安定的な水量を供給しています。この森で育まれた水は、寺迫地区の重要な生活用水、水道水として利用されているほか、ブロイラー、養豚、肉牛生産等畜産の営農用雑用水としても利用されています。

    ”ココ”の特色

    寺迫区では、田畑が少なく、地味も悪いため、江戸時代から延岡藩による木炭製造事業が実施され、地域の人々は「山稼」で生計を立てており、明治以降も生活の基盤は山林業でした。昭和27年に寺迫百町歩山林委員会を設立し、スギやマツの植林による造林を目指しました。その後、昭和47年に組合員の協同により森林経営等を行い、経済的・社会的地位の向上を図ることを目的に寺迫生産森林組合を設立し、自らも約700haを管理していることです。

    なお、庭田造林地の一部が平成7年8月に「水源の森百選」の一つ「庭田水源の森」に選ばれました。

    列状間伐の実施状況の写真
    列状間伐の実施状況
  • 過去から現在そして未来へ

    植栽当時(昭和41~47年)

    当時、作業道もない奥山まで人肩で、スギ・ヒノキ約135万本の苗木を運び、約450haという広大で急な斜面に植栽しました。


    現在(平成23年)

    平成18年度から路網の整備を行い、平成21年度末までに約12kmの作業道を作設しています。今後も効率的な施業に資する路網整備を予定しています。

    平成22年度には搬出間伐を32ha実施し、3,163m3の材を販売しました。

    今年は、国際森林年でもあり、地元の子ども達と共に当地で育樹イベントを行う予定としています。今後も地域の重要な水源の森として、健全な森林づくりを進めていきます。

    植栽当時(昭和41~47年)と現在(平成23年)の比較写真

関係者からのメッセージ

寺迫生産森林組合組合長 黒木福義さんの写真

~森林は大事な資源 後世に引き継ぎたい~

寺迫生産森林組合組合長 黒木福義さん

寺迫生産森林組合が管理する森林は、全体で約1,500haと広大です。その殆どが薪炭林のため荒廃が進み、戦後は渇水期に深刻な水不足が問題になり、その一部は森林農地整備センターとの分収契約によって、山林に植林され、山の保水力も強くなり水源かん養保安林として立派に役割を担うようになりました。現在、庭田造林地から湧き出た水は、簡易水道で各家庭に行き届き、蛇口をひねれば美味しい水が飲めます。また、石並川沿岸の水田や畜産用の農業用水として、下流で生をなす全ての動植物に対し、豊かな恵みを与え続けていることでしょう。

先人達が命がけで守ってきた山林が、「水源の森百選」に選ばれて、大変誇りに思っております。

私たち森林関係者は、地域にとって大事な資源であるこの「森」を、今後も管理を怠らず後世に引き継ぐ責任があると思い頑張っています。

清流石並川の源流(日向市)の写真
清流石並川の源流(日向市)

※ このメッセージは、「全国の水源林50選」策定当時(平成24年)のものであり、現在の団体名や役職名等と必ずしも一致しない場合があります。

問い合わせ先

国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林整備センター 宮崎水源林整備事務所

宮崎県宮崎市高千穂通2丁目6番18号(NMビル6階)

tel:0985-25-5411 fax:0985-28-0410